ゲームのタイトルは海外でどう読まれるか — 公開前の確認手順
気に入ったタイトルが決まりました。響きがよく、ロゴにも収まり、ドメインも空いています。ここで確定させて先に進みたくなるのは自然なことです。名前を決める作業は、悩むのをやめた瞬間に「終わった」と感じられる種類の意思決定だからです。
問題は、タイトルが後から最も変えにくいものだという点にあります。リリースするころには、ストアのURL、ロゴ、トレーラー、プレスキット、コミュニティサーバー、そして誰かが作ったすべての動画に埋め込まれています。発売後の改名は、積み上げた検索での見つかりやすさを捨て、すでにゲームを知っている人を混乱させることを意味します。
だからこそ、それらが何一つ存在しないうちに、半日だけ使う価値があります。個人開発ではほとんど誰も問わない質問 — このタイトルは、売りたい他の国で何をするのか。訳せるかどうかではありません。発音でき、入力でき、検索でき、覚えられ、聞き取られたときに意図しない場所へ着地しないか、という話です。
実際に起きる問題は多くない
失敗の型は意外なほど少なく、そのどれも「翻訳の質」の話ではありません。文字列が、別の口・別のキーボード・別の検索窓でどう振る舞うかの話です。
- 発音できない。タイトルを口に出せないプレイヤーは、友人に勧められません。小規模なゲームがもっとも依存している伝播経路が、そこで止まります。造語、子音が連続する綴り、変則的なスペルはいずれもここで損をします。
- 意図しない意味を持つ。典型は、ある言語では中立なのに別の言語では強い意味を持つ語です。たとえば英語の Gift(贈り物)は、ドイツ語では毒を意味します。俗語は辞書より速く動くので、教科書的には問題のない語が市場では使えないこともあります。
- 既存のものと衝突する。同じ語句を使う別のゲーム、映画、バンド、商品、大きなコミュニティがあると、タイトルで検索した人は毎回よその何かにたどり着きます。これは法律問題ではなくマーケティング上の傷で、そして最も頻度が高い問題です。
- 検索で見えない。対象言語のありふれた単語だけでできたタイトルは、その言語圏では事実上検索不能です。うろ覚えのプレイヤーは二度とたどり着けません。
- 入力しづらい。ダイアクリティカルマーク、変わった記号、その地域のキーボードで打ちにくい文字に依存したタイトルは、まさに買おうとしている瞬間に摩擦を足します。
- 音写で形が変わる。外国語のタイトルを自国の文字で表記する市場では、誰かがあなたのタイトルの綴りを決めます。自分で決めなければ、プレイヤーとメディアがそれぞれ別々に決め、検索結果が複数の表記に分裂します。
- 選んでいない連想を背負う。数字と一文字は定番の罠です。ある市場では不吉、別の市場では中立、という数字は実在します(日本語や中国語で四が避けられることがあるのはその一例です)。
見つけてもらえるかどうかもタイトルの一部
タイトルの良し悪しが現金化されるのは、発見の場面です。プレイヤーは配信でタイトルを一度耳にし、二日後にうろ覚えのまま、ストアや動画サイトの検索窓に打ち込みます。この連鎖のすべての段階がふるいです。正しく聞き取り、それらしく綴り、同名の別のものではなくあなたにたどり着かなければなりません。
見落とされがちなのが「ありふれた単語問題」です。英語のよくある名詞や決まり文句でできたタイトルは、あなたにとっては十分に個性的でも、同じ語を含むページが何百万とある検索インデックスの中では完全に埋もれます。しかも同じタイトルが、その語が日常語ではない市場では強く目立つこともあります。つまり見つかりやすさはタイトル単体の性質ではなく、言語ごとに変わる性質です。
確かめ方は単純です。ストア検索、一般の検索エンジン、大手動画サイトのそれぞれに、地域と言語を「自分の国ではなく狙う市場」に設定して、タイトルを丸ごと入力します。そして1画面目に何が出るかを見ます。映画シリーズと食品ブランドと有名な曲を押しのけないと自分が見えないなら、まだ無料で手を打てる段階でそれを知ることができたわけです。
定番の逃げ道はサブタイトルです。短く個性的なメインタイトルと、内容を説明するサブタイトルの組み合わせなら、覚えやすさと検索での引っかかりやすさを両立できます。しかもサブタイトルは市場ごとに訳せるので、ブランドとしてのメインタイトルを固定したまま、非英語圏のプレイヤーに何も伝えない名前だけを置き去りにする状態を避けられます。
半日で終わる確認手順
意図的に原始的な手順です。かかるのは注意力だけで、そしてロゴを描く前にやる必要があります。ロゴができた瞬間、タイトルは「もう変えられないもの」に感じられるようになるからです。
タイトル確認 — 狙う市場ごとに1回ずつ 1. その市場の言語・地域設定で、タイトルを丸ごと検索する: - ストア検索(Steam / App Store / Google Play など) - 一般の検索エンジン - 大手動画サイト 1画面目の結果を見る。自分は見つかるか、埋もれるか。 2. その言語の話者に音読してもらう。逆に、一度聞かせて綴りを 書いてもらう。読める/聞き取れるは別の能力なので両方見る。 3. ネイティブ2〜3人に、別々に、下記の開かれた質問をする。 4. 明らかな既存用途を確認する: 他のゲーム、映画、バンド、商品、 同じ語句を使う大きなコミュニティ。 5. 対象言語の俗語辞典を引く。1語としても、分割した各語としても。 6. 重要な市場で商標の基本的な検索をかけ、その結果に頼る前に 専門家の確認を取る。 7. 別の文字体系で表記される市場では、音写表記を自分で決める。 そして初日から、どこでも同じ表記で通す。
ネイティブへの正しい聞き方
聞き方次第で、この確認は機能したりしなかったりします。「このタイトル、変ですか」と聞いてはいけません。人は親切ですし、相手はこちらがその名前に惚れ込んでいることを察しているので、安心させる答えを返してきます。代わりに、正解のない開かれた質問をします。これは何を連想させますか。どんなゲームだと思いますか。どう発音しますか。
複数人に、別々に聞いてください。そして、すでにあなたのゲームを知っている人には聞かないこと。一年間開発を見てきた人は、そのタイトルが何を指すかを知らない状態に戻れません。その反応は、ストアページをスクロールしている見知らぬ人について何も教えてくれません。
食い違いの扱いには注意します。1人が違和感を持つのはノイズです。無関係な3人が同じ予想外の連想を口にしたら、それは発見です。そしてネイティブが答える前に一瞬ためらったら、そのためらい自体がデータです。何を天秤にかけていたのか聞いてください。有用な情報はたいてい、その人が言わないことにした側にあります。
商標のごく基本
商標の調査は、これまでの検索とは別の問いです。分けて考える価値があります。マーケティング上の確認は「プレイヤーが自分を見つけられるか」を問い、商標の確認は「誰かが自分を止められるか」を問います。商標は国・地域ごと、そして商品や役務の区分ごとに与えられるものなので、ある国での登録が別の国に及ぶわけではなく、無関係な業種での登録名が問題になるかどうかも区分の近さによります。
一次調査としては、多くの国の商標当局が公開しているデータベースを、実際に販売する予定の国について検索し、ソフトウェア・ゲーム・エンターテインメントに関わる区分に似たものがないかを見る、という進め方ができます。タイトル変更のコストがまだゼロのうちに、明らかな衝突を見つけるにはこれで十分です。
ただし、これに頼り切ることはできません。類似性や区分の判断、リスクの見積もりは専門的な仕事であり、判断を誤ったときの結果は最悪のタイミング — 名前がすべてに刻まれた発売後 — にやってきます。自分での検索は「ここから先は専門家に相談すべき」という合図を出すためのふるいと位置づけ、その名前でブランドを作り始める前に、専門家の意見を取ってください。
改名が起きる理由と、もう出してしまった場合
発表から発売までの間や、市場ごとにタイトルが変わることは実際にあります。理由はいくつかの型に収まります。名称をめぐる法的な衝突、プラットフォームやレーティング上の要件、現地の担当が「この名前はこの市場では響かない」と判断したケース、そして名前が一般的すぎて見つけてもらえないという発見上の問題です。ここで個別の作品名を挙げないのには理由があります。改名の公表理由は部分的なことが多く、本当の事情は社内に留まるのが普通だからです。具体的な事例の物語としてではなく、リスクの類型として受け取ってください。
すでにリリース済みでも、感じているより手はあります。多くのストアでは言語ごとに表示名を設定できるので、ブランドとしての元のタイトルを保ったまま、その市場に対しては意味の通るサブタイトルや音写表記を与えられます。元の名前を主にして、現地読みを括弧で添える形も有効です。どちらで検索した人にも両者がつながって見えます。
やってはいけないのは、黙って一斉にすべてを書き換えることです。古い名前は見つかる状態に残してください。ストアの説明文、告知、コミュニティが張ったリンクの先など。そうすれば、すでに獲得した検索流入と口コミが、どこにも着地せず消えることを防げます。そしてURLのスラッグは、変えずに済むところは変えないこと。改名の中で唯一、音もなく壊れるのがURLです。リンク切れが奪うのは、すでにこちらへ向かっていた読者です。