対応言語の選び方 — ランキングではなく判断軸
「ゲームをどの言語に対応させるべきか」を検索すると、順位付きのリストがたくさん出てきます。それらは無視してください。自分のゲームに適した言語は、自分のオーディエンス、ジャンル、抱えているテキスト量に左右されるものであり、汎用のランキングにはそれを知る術がありません。ここで整理するのは代わりの答えではなく、自分で答えを出すための枠組みです。
まず手元にある証拠から始める
言語を追加する前に、いま自分のゲームへの関心がどこから来ているかを見てください。ストアページの分析では、多くの場合トラフィックとウィッシュリスト登録が地域別に見られます。フォーラムやDiscord、SNSといったコミュニティのチャンネルは、既存のプレイヤーがどの言語を求めているか、あるいは翻訳がなくても既にどの言語で自分のゲームについて話しているかを教えてくれます。
この証拠は、汎用ランキングよりも価値があります。なぜなら一般的なゲームではなく、自分のゲームそのものを反映しているからです。同じストアの中でも、パズルゲームと戦術RPGではオーディエンスがまったく異なることがあり、言語の優先順位もそれに応じて変わります。
ジャンルの慣行は参考程度に見る
特定のジャンルには、プレイヤーが最低限期待する対応言語について一定の慣行が形成されています。ただしこれはプラットフォームやオーディエンスによって異なり、時間とともに変化するため、固定リストを前提にせず、自分のジャンルの現在のストア掲載を確認する価値があります。ジャンルの慣行は判断材料の一つであって、ルールではありません。同ジャンルのプレイヤーが何を見慣れているかを教えてくれるだけで、同ジャンルの他タイトルが対応しているからといって、自分のゲームがその言語で必ず読者を見つけられる保証にはなりません。
文字量は言語ごとに計算を変える
追加する言語のコストはおおむね文字量に比例しますが、その倍率は言語によって同一ではありません。英語の原文に対して訳文が長くなりやすい言語もあれば(ドイツ語やフィンランド語が長くなりやすい例としてよく挙げられます)、短くなる言語もあります。実務上の意味は、一般的なランキングでは「安い」とされる言語でも、英語の文字数だけを想定したUIには収まらないことがあるということです。想定ではなく、実際の訳文で検証する必要があります。
CJKとラテン文字は同じエンジニアリング課題ではない
CJK言語(中国語・日本語・韓国語)の追加は単なる翻訳の追加ではありません。フォント要件が変わり、ラテン文字フォントが数百グリフで済むのに対しCJKは数千のグリフをカバーする必要があるため、フォントファイル自体も大きくなります。パイプライン全体で文字コードをUTF-8に統一する必要があり、古いエクスポート・インポート処理が一つでも残っていると、翻訳の誤りではなく文字化けとして現れます。単語間のスペースを前提にした改行ロジックはCJKでは機能せず、文字境界での折り返しに対応する必要があります。これらはCJK言語を避ける理由ではなく、追加するなら翻訳と並行してエンジニアリング時間を確保すべき理由です。
更新の負担は言語ごとに積み上がる
対応する言語はどれも一度きりのコストではなく継続的なコミットメントです。パッチ、イベント、新コンテンツはそれぞれ、言語が混ざったビルドを出さないためにすべての対応言語へ翻訳してから出す必要があります。発売時のコストだけを見る枠組みは、更新頻度の高いコミュニティを持つ言語の総コストを過小評価します。
枠組みをまとめる
どの要素も単独では正しい言語リストを教えてくれません。互いに影響し合っています。
- 証拠(流入、ウィッシュリスト、コミュニティの要望)は、すでに需要がどこにあるかを示す
- ジャンルの慣行は、同カテゴリのプレイヤーが最低限期待する水準を示す
- 文字量と訳文の膨張率は、想定ではなく実際の言語ごとのコストを示す
- 文字体系(CJKかラテン文字か)は、翻訳の前にどんなエンジニアリング作業が必要かを示す
- 更新頻度は、発売後もその言語対応を続けられるかを示す