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多言語対応の予算をどう組むか — 見落とされがちな費目

多言語対応にいくらかかるか聞かれると、多くの人はまず翻訳単価(1ワードあたり、または1000文字あたりの金額)を答えます。それ自体は実在する数字ですが、予算にはほかにも項目があり、見落とされがちな項目こそが見積もりを大きく超過させる原因になります。この記事は、具体的な単価を挙げずに見積もりの形を組み立てるためのチェックリストです。適正な単価は言語ペアやベンダーとの関係、対象市場によって変わるため、それを決められるのはあなた自身だけだからです。

ここで示したいのは一つの数字ではなく「形」です。どのカテゴリの費用を見込んでおくべきか、それぞれがどこから発生するのかを整理します。

自分の文字量から始める

他のすべての見積もりは一つの数字から始まります。実際に翻訳が必要な単語数(表意文字圏の対象言語なら文字数)です。これは誰かに相談する前に自分でできる最初の具体的な一歩です。UI文字列、会話、アイテムやクエストのテキスト、実績文、ストアページの文言、マーケティング用の文言まで含めて多言語対応するなら、ユーザーが目にするテキストをすべて一箇所に書き出して数えます。

文字量は、自分のプロジェクトがどの規模のものかも教えてくれます。UI文字列が数百個のメニュー操作型パズルゲームと、数万行の会話がある会話重視のRPGでは、まったく違う予算カテゴリになります。自分がどちらなのかを早い段階で知っておくと、見当違いの見積もりに時間を使わずに済みます。

予算に含めるべき費目

最初の見積もりで漏れがちなカテゴリが多くあります。チェックリストとして扱ってください。

  • 翻訳費 — 文字量に直接比例する、最も目に見えるコアコスト
  • レビュー・言語QA — 翻訳そのものとは別に、正確さとトーンを確認する別の目
  • エンジニアリング — テキストを安全に書き出し・取り込みできるパイプラインの構築・調整
  • フォントとテキスト表示対応 — 対象言語すべての文字セット、改行ルールが異なる言語への対応を含む
  • UI調整 — ソース言語より目に見えて長くなる(あるいは短くなる)文字列に耐えるレイアウト。言語系統をまたぐと頻発する
  • 調整業務 — ファイルの準備、翻訳者からの質問への回答、進捗管理にかかる人の時間
  • インコンテクストQA・機能QA — 静的なレビューでは拾えない、はみ出し・重なり・プレースホルダー崩れを実際にプレイして確認する作業
  • 継続的な維持費 — リリース後のすべてのパッチ、イベント、追加コンテンツにかかる、期限のない費用

維持費が想定外になりやすい理由

発売日に向けた翻訳には明確な終わりがあります。見積もりを取り、支払い、その言語でリリースすれば完了です。維持費には終わりがありません。発売後に追加する文字列は一つ一つ、同じパイプライン(翻訳・レビュー・チェック)をその言語で対応し続ける限りずっと通ることになります。

だから、多言語対応は買い切りの購入というより、変動費のかかるサブスクリプションだと考えたほうが実態に近いです。発売日分だけを予算化し、発売後の翻訳を後回しにすることが、言語の混在したビルドを出してしまう最も一般的な原因の一つです。これはプレイヤーにとって、ほかのどんな多言語対応の不備よりも目につきやすいものです。

調整コストは「タダに見えても」実在する

翻訳をフリーランスや翻訳会社に外注する場合でも、チームの誰かがファイルを準備し、文脈やトーンについての質問に答え、翻訳済みファイルを受け取り、途中で何も壊れていないか確認する必要があります。これらは請求書には出てこないので見積もりから抜け落ちがちですが、直接お金が動かなくても時間としてカウントしておくべきです。

最初の見積もりを組み立てる

現実的な最初の一歩はこうなります。まず文字量を数え、その量に対して翻訳とレビューの見積もりを取り、自分たちの実際のエクスポート・インポート要件に合わせたエンジニアリングの見積もりを足す(これはコードベースによって大きく変わるため一般化しにくい部分です)。そして、今後のアップデートで追加すると見込まれる文字量に同じ単価をかけ、ゲームの想定サポート期間に分散させて維持費を見積もります。

この結果は正確な数字にはなりませんし、そう扱うべきでもありません。この見積もりの価値は、支出の全体像をコミットする前に見えるようにすることにあります。見落としていた費目こそが、後になってスケジュールを圧迫する費目にならないようにするためです。

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