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Steamの地域別価格の決め方 — 推奨価格をどこまで信じるか

価格をひとつ決めた途端、Steamは数十の通貨について同じ質問をしてきます。画面は通貨ごとの推奨価格で埋まっていきますが、個人開発者の正直な最初の感想は「この数字が妥当なのか判断できない」でしょう。比較できる自分のデータもなく、行ったこともない国でゲームがいくらであるべきかの感覚もありません。

先に結論を書くと、推奨価格をそのまま受け入れるのは十分に筋の通った選択で、発売時点ではほとんどの開発者がそうすべきです。必要なのは、より良い数字をゼロから計算する方法ではありません。推奨価格が何をしようとしているのかを理解し、上書きする価値がある数少ない場面を見分け、地域別価格で解ける問題と解けない問題を区別することです。

この記事ではその3つを扱い、最後に多くの人がつまずく点 — いつ価格を変えられるかという制約 — に触れます。

なぜ国ごとに値段が違うのか

地域別価格を「ひとつの価格を現地通貨に換算したもの」と考えたくなりますが、それは違います。そう捉えていることが、まずい地域別価格の根本にあります。

価格は「この買い物がどれくらい重い決断か」を伝える信号であり、その信号は為替レートではなく所得で決まります。同じ換算額が、ある国では衝動買いの範囲に入り、別の国では一週間かけて自分を説得してから買う金額になります。つまり算術的に正しい換算が、両方向に商業的な誤りになりえます。ある市場では高すぎて誰も買わず、別の市場では安すぎて、その市場が喜んで払ったはずの金額を自分から捨てていることになります。

数字がきれいに揃わない理由は他にも3つあります。為替は動くので、一度決めた価格は、当初表していたはずの水準から少しずつずれていきます。切りのよい数字は文化ごとに違うので、ある通貨では意図して決めたように見える価格が、別の通貨では換算の余りに見えます。そしてSteamは現地通貨で課金するため、プレイヤーは自分で換算しません。自分が普段考えている通貨の数字を見て、同じ通貨で並んでいる他のゲーム — それらも地域別に価格設定されています — と比べて判断します。

推奨価格はどう使うものか

Steamworksは、設定した基準価格から各通貨の推奨価格を生成します。「為替換算に割引をかけたもの」ではなく、「地域をまたいだ膨大な販売データを持つ側が維持している、根拠のある初期値」と捉えるのが正しい理解です。自分のデータがまだ一件もない初リリースで推奨に従うのは、手抜きではなく、より良い情報の正しい使い方です。

発売時の判断より重要なのは、推奨価格が固定ではないことです。Steamは為替や自社のモデルの変化に応じて推奨を定期的に見直し、影響がある場合には開発者に通知します。そしてこの通知は、発売から1〜2年たって別の作業をしている時期には、非常に無視しやすいものです。

地域別価格で最もよくある失敗は、実はここにあります。意図的に選んだ数字が間違っていた、というケースは稀です。発売時には妥当だった数字が、見直されないまま、開発者が別の作業をしている間に別のものになっていた、というケースがほとんどです。この記事から一つだけ実行するなら、これにしてください。推奨価格が変わったと通知が来たら、結局そのままにすると決める場合でも、画面を開いて見る。

自分で調整すべき場面

推奨を上書きする理由が本当に存在する場面はあります。ただし多くの人が思うより狭く、それぞれ「なぜそうするのか」を言葉で説明できる必要があります。

先に、理由にならないものを挙げておきます。こちらのほうが頻繁に出てくるからです。「もっと売上がほしい」は地域価格を上げる理由になりません。その市場がいくらまで払うかについては、こちらの希望より推奨価格のほうがよく分かっています。「他社が違う値段を付けている」も理由になりません。その会社の事情をこちらが知っている可能性はまずないからです。そして「その地域で売れていない」ことは、それだけでは価格の問題の証拠になりません。これは後述する切り分けの話で、判断を間違えると、売上本数は変わらないまま収益だけを削ることになります。

上書きする理由になるのは、次のような場面です。

  • 国内価格が心理的に意味のある額に設定してあり、換算がそれを壊している場合 — 直すのはその通貨だけで、全体をいじらない
  • 特定の市場に意図して参入していて、価格をその後押しに使いたい場合 — 多くは、言語対応を追加したばかりで最初の一群を獲得しやすくしたい市場
  • 自社カタログ内の整合性 — 同じ地域で既存タイトルと不自然に食い違う価格は、再訪したプレイヤーを混乱させ、バンドルの説得力も落とします
  • 十分な期間が過ぎ、ある地域の転換率が他と大きく違い、それを価格で説明するのがもっともらしいという実データがある場合

数字を打ち込む前の2つの注意

何を変えるにしても、一度に1通貨ずつ変え、理由をメモに残してください。1年後、説明のつかない数字が並んだ価格表を前にしたとき、そのメモがあるかどうかが、見直せる判断と、怖くて触れない数値の集まりとの分かれ目になります。

注意の1つめ。入力した価格が推奨から大きく外れている場合、Steamworksはそれを知らせてくれます。これは障害ではなく情報として扱ってください。極端な外れ値は、単に警告されるだけでなく、2つめの注意が生じる条件そのものを作ります。

地域間の価格差が大きくなると、安い地域で買って高い地域に持ち込む動機が生まれます。プラットフォーム側もこれを制限していて、一部の地域間ではギフト送付が制限され、キーには地域制限をかけられます。ただし取り締まりはプラットフォームの仕事であり、その網が完全であることはありません。開発者側のレバーは取り締まりではなく、そもそも極端な差を作らないことです。

ここから引き出してはいけない結論は「安全のために全地域を最も所得の高い市場に合わせる」です。それは何も守らず、価格設定の対象だった市場を消すだけです。現実的な立ち位置はごく平凡なもので、推奨に従い、理由を説明できるときだけ外し、外し幅は控えめにする、というものです。

価格だけ下げても、読めないページは売れない

見落とされがちな相互作用があり、これがいま実際に損をしている可能性が高い箇所です。購買力の調整によって最も大きく値下げされる地域は、圧倒的に英語が第一言語ではない地域です。つまり、価格を下げて狙っている市場と、まだ言語対応していない市場は、大部分が同じ市場です。

読めないストアページのまま価格だけ下げるのは、最初の段が壊れているファネルの最後の段だけを最適化する行為です。どんなゲームなのか分からないページを見た人は、いくらであっても買わずにタブを閉じます。価格は購入者が最後に出す反論であり、それに答える機会が回ってくるのは、その前の問い — これは何なのか、自分向けか、面白いのか — にすでに答えられている場合だけです。

この2つを切り分ける方法は、地域別データの中にあります。ある地域の訪問数とウィッシュリスト登録を見てください。ページには来ているのに登録に至っていないなら、ページか価格の問題であり、価格を試す価値があります。そもそも誰も来ていないなら、ボトルネックは価格ではなく、いじっても何も変わりません。足りないのは発見の側で、言語対応はそこを動かすレバーの一つです。

どちらのレバーが引き直しやすいかも考える価値があります。値下げは今後すべての本数で収益を減らし、元に戻すのは気まずい選択です。値上げはプレイヤーに気づかれますし、ウィッシュリスト登録者はすでに期待値を持っています。一方で言語追加は一度きりの固定費で、1本あたりの収益は減りません。両方できず、どちらか一つを選ぶ場面では、この非対称性は判断材料になります。

見直しの頻度と、タイミングの制約

見直しのリズムは、固定のカレンダーよりも4つのきっかけで持つのが現実的です。推奨価格の変更通知が来たとき、ある地域向けの言語を追加したとき、大きなセールを計画する前、そして何も起きていなくても年に1〜2回の点検として。

実際にぶつかる制約は、価格を思い立ったときに変えられるわけではない、という点です。プラットフォームは割引の前後にクールダウンを設けており、セール直前の価格変更にも制限があります。この制約は、何かに気づいたときにどれだけ早く動けるかを直接左右します。セールの年間計画を立てる前に、Steamworksの最新のドキュメントで現在のルールを確認してください。「イベントの前週に価格を調整する」前提の計画は、そもそも実行できないことがあります。

もう一つの制約はルールではなく、受け取られ方の事実です。値下げは簡単で、値上げは簡単ではありません。割引はウィッシュリスト登録者に通知として届き、値上げは彼らに発見されます。発売時の価格は、価格設定画面から受ける印象よりずっと一方通行の扉に近いということです。これもまた、思いつきの数字ではなく推奨価格から始めるべき理由の一つです。

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