ゲームの日本語翻訳者を採用する — 見極め方と依頼の仕方
一般的な翻訳の能力とゲーム翻訳の能力は関連していますが、同じスキルではありません。法律文書やビジネス文書の翻訳が非常に得意な翻訳者でも、特定のキャラクターが自然に話しているように聞こえるセリフや、数文字に収めなければならないUI文字列には苦労することがあります。ゲームのために採用するということは、正しい対象を評価するということです。
これは特に日本語で顕著です。敬体・常体の使い分けや語尾、一人称の選び方はキャラクターの個性を表現しますが、英語からきれいに対応づけられるものではありません。ゲーム経験のない翻訳者は、文法的には正しくても、そのキャラクターなら実際には言わないような日本語を作ってしまうことがあります。
ゲーム経験と一般的な翻訳経験
翻訳全般ではなく、ゲームについて具体的に尋ねてください。ゲームに携わった経験のある翻訳者は、あなたのプロジェクトでも起きるであろう繰り返しの問題 — 文脈の見えないテキスト、実行時に置き換わる変数、UIによる文字数制限、書き言葉ではなく話し言葉に聞こえる必要のあるセリフ — にすでに向き合ってきています。
一般的な翻訳経験が無価値というわけではありません。強い語学力はどちらにせよ前提条件です。ただし、それだけではこうしたゲーム特有の制約にどう対応するかを予測できません。一般的なポートフォリオだけでなく、ゲーム固有の実績例を求めましょう。
自分のゲームの実テキストを使った有償サンプルを依頼する
最も有用な評価方法は、汎用のテスト文ではなく、自分のゲームの実際のテキストの一部を有償で翻訳してもらうことです。汎用のテストは一般的な翻訳力を測りますが、自分のテキストのサンプルは、その翻訳者が自分のキャラクター、トーン、プレースホルダーや改行といった技術的な制約に対応できるかを測ってくれます。
サンプルに対価を払うのが誠実なやり方です。無償の「テスト翻訳」も実質的な作業であり、これから判断力を頼りにしていく相手に無償労働を選考の材料として求めるのは、良い協働関係の始め方ではありません。
最初に文脈とキャラクターの注記を渡す
文脈のない裸のセリフ一覧を渡された翻訳者は推測せざるを得ません。日本語は特に敬体・語尾・一人称の選択肢が多いため、誤った推測をしやすく、後から気づきにくいという特徴があります。テキストを送る前に、次を用意しておきましょう。
- 各行を誰が話しているか、その年齢・性格・話し相手との関係
- そのセリフがゲーム内のどこに登場し、周囲で何が起きているか
- 固有名詞や繰り返し使われる用語、翻訳してはいけない名前の用語集
- トーンについての注記 — このセリフはフォーマルか、カジュアルか、コミカルか、威圧的か
大量の作業に入る前に文体と用語を合わせる
テキストの大部分を翻訳してもらう前に、文体(ゲーム全体の日本語がどのくらいフォーマルに読めるべきか)を合意し、キャラクター名・地名・アイテムやスキルの名前といった主要な用語を文書で確定させておきましょう。文体を途中で変えると、それ以前に訳したすべてを訳し直すことになり、用語の不統一は翻訳されたゲームで最もよくあり、かつ最も目につきやすい品質問題のひとつです。
あなたと翻訳者の双方が参照・更新できる共有の用語集は、小規模なプロジェクトでも用意する価値があります。同じ用語がゲームの中で三通りに訳されてしまうのを防ぐ、最も安価な方法です。
日本語が読めなくても一貫性は評価できる
実際に問題を見つけるのに、日本語が読める必要はありません。一貫性は機械的に確認できます。用語集にある同じ用語が翻訳ファイルの使用箇所すべてで同じように現れているか、キャラクター名が一貫しているか、プレースホルダーや書式のマーカーが翻訳を経ても変わらず残っているか、改行や文字数制限が守られているかです。
文章が自然に読めるか、キャラクターの声に合っているかについては、別の視点が必要です。翻訳に関わっていないネイティブスピーカーであれば、ゲーム翻訳について何も知らなくても、業界の外の人であっても、硬い言い回しや不一致、キャラクターらしくない言葉遣いを指摘してくれます。