まだ変わり続けるゲームを多言語対応する — アーリーアクセスの進め方
アーリーアクセスのゲームは、その形式の性質上、常に変わり続けます。しかし全文翻訳は、テキストがほぼ確定していることを前提にしており、来週書き直されるスクリプトを翻訳すれば、同じ内容を二度お金を払って翻訳することになりかねません。完成したゲームの発売時ローカライズと同じやり方でアーリーアクセスのローカライズを進めるのは、お金と翻訳者の信頼の両方を無駄にしがちな典型的な失敗です。
代わりに、ローカライズをテキストが完成している前提の一回限りのプロジェクトとしてではなく、ゲーム自体の不安定さに寄り添った継続的なプロセスとして扱うことができます。
不安定な原文で全文翻訳が無駄になる理由
一行を翻訳することは、短い行であってもタダではありません。翻訳者の作業時間がかかり、多くの場合それに加えてレビューの時間もかかります。その行が次のアップデートで削除・書き直し・差し替えになれば、その作業は失われるだけでなく、翻訳済みファイルはもう一致しなくなった原文と突き合わせて調整し直す必要が出てきます。
あるシステム、仕組み、物語の一部がまだ設計変更中であるほど、そのテキストが近いうちに再び変わる可能性は高くなります。そのテキストを早期に翻訳するのは「変わらない」に賭けることであり、プレイヤーのフィードバックを受けた再設計こそが目的であるアーリーアクセスでは、この賭けに外れることが不釣り合いに多くなります。
最初に何を対応すべきか
すべてのテキストが同じ変更リスクを抱えているわけではありません。実務的な優先順位のつけ方は次のとおりです。
- UIやメニューのテキストはコンテンツより先にインターフェースの規約が固まる傾向があり、比較的早期でも安全な対象
- ゲームの根幹を定義していて、細部の調整はあっても丸ごと削られる可能性が低いコアシステム
- オンボーディングやチュートリアルのテキスト。新規プレイヤーが最初に触れる部分で、その言語の品質の第一印象を決める
- まだ設計変更中、あるいは削除される可能性があるコンテンツ。今回のパスでは後回し、あるいは対象外にしておく価値がある
各ビルドを「全体」ではなく「差分」として扱う
アップデートのたびに現行スクリプト全体を翻訳者に渡すのではなく、前回翻訳した版から変わった部分 — 新規行、編集された行、削除された行 — だけを渡します。これはより安く、より安全です。差分だけを扱う翻訳者は、スクリプト全体を読み直して変更不要な行にまで不整合な修正を加えるリスクを負わずに、小さく焦点の絞られた変更だけを確認できます。
これは何が変わったかを確実に特定できて初めて成り立ちます。つまり、テキストの各行に、内容の編集を経ても保持される安定した識別子を持たせ、文言の変更が履歴のない無関係な新規行として現れるのではなく、既存行への編集として追跡できるようにしておく必要があります。
ベースラインを保ち、翻訳者には差分だけを見せる
ベースラインとは、完全に翻訳・レビューが終わった直近のテキストのバージョンのことです。以降のすべての差分は、その一つ前のバージョンとではなくこのベースラインと比較され、翻訳のパスとパスの間で変更が知らないうちに積み重なるのを防ぎます。
明確なベースラインを保つことは、翻訳者の文脈も守ります。どの行が新規で、どの行が編集され、どの行が変わっていないかを、すべてを読み直して推測するのではなく正確に把握できます。これがないと、小さな変更はノイズに埋もれ、レビューで見落とされやすくなります。
各言語の状態を正直に伝える
変わり続けるスクリプトのどこまで各言語が追いついているかは言語ごとに違うことがあるため、プレイヤーには実際に何を得られるのかを知る権利があります。ストアページやゲーム内の言語選択画面が、ある言語が数回分のアップデート分遅れているのに全言語が同等であるかのような印象を与えるのは、ゲームが満たせない期待を持たせることになります。
最新アップデート時点でどの言語が最新か、あるいはゲームのどの部分がまだ原語のままであると分かっているかといった、シンプルで正直な表示は、コストをほとんどかけずに、警告なく未翻訳のテキストを見つけたプレイヤーからの反発を防いでくれます。