ゲームのローカライズ費用はいくら? 自分の数字を組み立てる方法
「ローカライズの費用はいくらですか」という質問に一つの数字で答える人は、あなたのゲームを知らないまま答えています。同じジャンルで同じプレイ時間のゲームでも、抱えているテキスト量や、その構造、発売後にどれだけ更新されるかはまったく違います。信頼できる見積もりは、自分のプロジェクトから組み立てたものだけです。
この記事では、その手順を説明します。実際に持っているテキストを数え、種類ごとに分け、範囲を決め、文字量に比例するコストとしないコストを分けます。
まず文字量を数える
誰かに見積もりを出してもらう前に、自分で数字を持つ必要があります。ゲーム内の書き出し可能なテキストが、何語(あるいは言語によっては何文字)あるかです。当たり前に聞こえますが、実際に数えていないチームは多く、記憶やプレイ時間から推測してしまいがちで、これは当てになりません。
最も正確な情報源は自分のテキストファイルやデータベースです。すべての文字列テーブル、会話スクリプト、アイテム説明を書き出し、その書き出し結果に対して文字数を数えます。テキストがまだコードや企画書に散らばっていて、まとめて書き出せる状態になっていないなら、それを取り出すこと自体が先にやるべき作業であり、それは同時に、自分のプロジェクトがそもそも翻訳できる状態にあるかを教えてくれます。
UI・物語・宣伝文を分けて考える
すべての単語が同じコストで翻訳できるわけではなく、合計だけを見るとそれが隠れてしまいます。UI文字列(メニュー項目、ボタン、ツールチップ)は短く反復的でレイアウト上の制約が強いため、翻訳自体は速い一方、収まるかどうかの確認に手間がかかります。
物語テキスト(会話、クエスト説明、設定資料、アイテムのフレーバーテキスト)は、ストーリー重視のゲームでは文字量の大半を占めます。何千行にもわたってキャラクターの口調とトーンを一貫させられる翻訳者が必要で、これは設定メニューを訳すのとはまったく違う技能です。
宣伝文(ストアページ、トレーラー、SNS投稿)は量こそ少ないものの、見られる機会は不釣り合いに大きいものです。プレイヤーが購入を決める前に最初に、時には唯一読むテキストであることも多いためで、ゲーム内テキストの翻訳が終わったあとに後回しにするのはよくある失敗です。
何が「範囲内」なのかを決める
文字数は、それが何をカバーしているのかを決めて初めて意味を持ちます。範囲の判断は、言語そのものの事実ではなく自分で選ぶ選択であり、合計を最も大きく左右します。
- テキスト全体の対応か、ストアページのみの対応か — 本編に踏み込む前に需要を測る最も安い方法
- ボイス付きコンテンツを字幕のみにするか、フルの吹き替えにするか — 音声収録はテキスト翻訳とは別次元の規模になる作業
- どの言語に対応するか、それらを同時に出すか時期をずらすか
- サブクエストや実績、開発者コメントなど任意・スキップ可能なコンテンツを初日から含めるかどうか
文字量に比例するコストと、しないコスト
翻訳作業そのものは、おおむね文字量に比例します。誰が作業しても、文字が増えれば時間も増えます。ここは文字数が実際に予測してくれる部分です。
一方で、まったく文字量に比例しないコストの一群があります。テキストを書き出せる状態に整える作業、翻訳後に長くなった文字列に合わせてUIレイアウトを調整する作業、対象言語の文字を表示できるフォントの用意、翻訳済みファイルをビルドに戻す仕組みづくりは、おおむね一度きりの固定的なエンジニアリング作業です。テキストの少ないゲームと多いゲームとで、この部分の作業量はほとんど変わらないことも珍しくありません。
翻訳されたビルドを実際の文脈で確認する作業 — 表計算ソフト上ではなくゲーム内で読む作業 — は、文字数よりもゲーム内の画面数や状態数に比例するコストです。短いメニュー項目でも、長いセリフと同じくらい簡単に間違えられるためです。
誰も見積もりに入れない継続コスト
一度の文字数だけで見積もれるのは、いま存在するテキストを翻訳するコストだけです。パッチ、季節イベント、新規コンテンツはどれも新しい単語を追加し、それはすでに対応を決めたすべての言語で翻訳が必要になります。この継続コストは、ゲームの寿命全体で見ると初回のローカライズより大きくなることも多く、最初の見積もりから最も抜け落ちやすい部分です。
アップデートを続ける予定があるなら、正直な見積もり方は「いまのテキストにいくらかかるか」ではなく、「翻訳を続けるつもりの期間、月あたりどれくらいの新規テキストが発生し、それにいくらかかるか」を見積もることです。