ゲームを広げる・売るRead this article in English

インディーゲームで食べていけるのか — 個人開発の収益の現実

ゲームを作っていると、どこかで同じ問いにぶつかります。これは仕事になるのか、という問いです。たまにモニター代が浮く趣味ではなく、給料という土台なしで、何年も家賃を払い続けられる仕事になるのか。まっとうな問いですし、成功談か絶望的な書き込みのどちらかしか出てこない現状より、もう少しましな答えがあるはずです。

正直に言えば、実際にやっている人はいます。そして挑む人の数に比べれば成功する人はずっと少なく、その差はゲームの出来だけでは説明できません。かなりの部分は構造の問題です。お金がどういう形で入ってくるのか、どれくらい偏っているのか、定価のうちいくらが実際に開発者まで届くのか、そして1本のゲームをどれだけ広い市場に売っているのか。

この記事はその構造の話です。金額は書きません。「だいたいこれくらい」として引用される数字は、あなたのゲームではない作品から組み立てられた作り話だからです。知る価値があるのは形のほうで、こちらは数字が変わっても安定しています。

収入はどういう形をしているか

まず理解すべきは、分布が極端に偏っているということです。どの年でも、ごく一部のタイトルが収益の大部分を持っていき、典型的なリリースの売上は平均値よりはるかに下になります。だからこの分野で平均値は役に立ちません。平均は、狙って再現できない極端な成功例に引き上げられているからです。平均を前提に計画を立てるのは、他人の当たりくじを前提に計画を立てるのと同じです。

次に、ストアページに出ている価格は手元に入る金額ではありません。ストアは売上から一定の割合を取ります(比率は各ストアの規約に公開されています)。購入者の所在地に応じて消費税・付加価値税が差し引かれます。返金も引かれます。地域別価格を設定していれば、同じ1本でも国によって入ってくる額は意図的に変わります。入金には遅れがあり、販売から1か月以上あとになることも普通です。さらにストアの所在国から見て国外の開発者には源泉徴収の話が乗ってきます。租税条約や、ストアの管理画面で求められる税務情報の入力がここに関わりますが、仕組みは国によって違うので、最終的には税理士と公式資料で確認してください。

3つ目に、収入は毎月一定ではなく波として来ます。よくあるのは、発売直後の山、急な落ち込み、その後はセール期間ごとに小さな山が立つ長い尾、という形です。つまり実務的な問いは「1本で1年分の生活費を稼げるか」ではなく「その形のまま生活できるか」であり、これは売上の問題であると同時に、貯金と生活の持ちこたえ期間の問題でもあります。

続けられている人が違えていること

いちばん共通しているのは規模の管理です。4年かかるゲームは、1円も返ってこないまま4年分の生活費を先に消費しますし、その規模に見合った成功をしなければ回収できません。長く続いている人の多くは、外した1本を生き延びられるペースで出しています。外す作品は必ず出るからです。

2つ目は、収入の線を1本に絞っていないことです。受託開発、移植作業、パブリッシャーからの前払い、プラットフォームの支援プログラム、他の開発者向けのツールや素材の販売、そして過去作からの継続収入。10年続けている人の家計には、たいていこれらが混ざっています。これは夢を諦めた妥協ではなく、リリースが当たらなかった年をやり過ごすための仕組みです。

3つ目は、最初から事業として扱っていることです。お金を分けて管理する、経費を記録する、この種の収入が自国でどう課税されるかを把握しておく、そして入金が遅れても危機ではなく不便で済む程度の余裕を持つ。地味な話ですが、悪い1年がキャリアの終わりになるか、単に悪い1年で済むかを分けているのはここです。

4つ目は、客層の連続性です。2本目を、1本目を気に入ってくれた人たちに向けて出せる開発者は、またゼロから始める開発者とはまったく違う位置からスタートします。この連続性は各リリースの最中と直後に作られます。メールでの告知先、コミュニティ、自分に合うプラットフォームでのフォロワー。この商売で目減りしない数少ない資産の1つです。

1本のゲームを、より広い市場に売る

ここに、注目されている度合いのわりに効くレバーがあります。ゲームを良くする話ではないので話題になりにくいのですが、いったんゲームが完成したあと、それをより多くの人に売るコストは、もう1本作るコストよりはるかに低いのです。同じビルドで届く市場が1つ増えるたび、すでに終わった作業から追加の売上が立ちます。

実際に使える最も大きなレバーは言語です。デジタルストアは最初から世界中で売っています。流通は、もうずっと前から難所ではありません。残っているのは、ストアページを読めない人はほぼ買わない、チュートリアルを読めない人はほぼ続けない、という壁です。ゲームとストアページを、その言語で自然に読めるように作り直すことをローカライズと呼びます。小規模なゲームにとってこれは、設計に手を入れずに上限を引き上げられる数少ない投資です。

生存という観点でこれが効くのは、単純な算数のためです。1言語がそのジャンルを好む人たちの一部にしか届かないなら、2つ3つの層に届くために必要なのは、2本目のゲームでも新しい企画でもさらに2年でもありません。必要なのはテキストで、テキストはゲームの構成要素の中で最も複製が安い部分です。

もちろん無料でも自動でもありません。翻訳には費用か時間がかかり、伸びた文字列は1言語でしか検証していないUIを壊し、文字体系によっては今のフォントでは表示できず、以後のアップデートすべてがその約束を引き継ぎます。ただし規模は選べます。ストアページだけなら数百語で、これは需要を測る実験として機能しますし、本編の翻訳という大きな判断は、その結果が返ってくるまで先送りできます。

複数タイトルと、カタログの資産化

1本のリリースがキャリアになることはほとんどありません。キャリアを作るのはたいていカタログで、カタログは単体のゲームとは違う振る舞いをします。旧作はセールのたびに稼ぎ続けます。新作を出すとプレイヤーが過去作を見に来るので、1回のリリースが自分の全作品を持ち上げます。そして自作のエンジン層・ツール・パイプライン・リリース手順を作り直さず再利用できるようになるほど、1本あたりの追加コストは下がっていきます。

先ほどの「市場を広げる」話が複利で効いてくるのもここです。3本のゲームが5言語で売られている状態は、3本が1言語で売られている状態とは事業規模がまるで違います。しかもその作業はゲームごとに1回で済み、以後そのゲームがセールに出るたび、寿命の続く限り再利用されます。

カタログで考えると、何を失敗と呼ぶかも変わります。開発期間を回収できなかったゲームでも、いま再利用しているツールを生み、次に付いてきてくれる客層を作り、リリースの手順を身につけさせたのなら、それは無駄な1年ではありません。売上の行が期待外れでも、それらは資産です。

最初の1本で実際にやるべきこと

まだ何も辞めないでください。最初のリリースは仕組みを学ぶ場です。ストアページ、審査、税務書類、セールの予定管理、パッチ配信、返金、問い合わせ対応。これらを家賃がかかった状態で学ぶのは分の悪い取引です。希望ではなく数字がそう言うまで、いまの収入は手放さないでおきます。

そして、確実に完成させられる規模で出します。完成した小さなゲームは、企画から発売後までの流れを丸ごと教えてくれます。未完成の野心作は、はるかに高くつくわりにほとんど何も教えてくれません。1本目の目的はヒットではなく、1周まわし切ることです。

事業まわりは必要になる前に整えます。お金の口座を分け、初日から記録を残し、この収入が自分の国でどう扱われるか、海外のストアからどんな書類を求められるかを、自分の状況に合った形で確認しておく。最終的な判断は税理士と公式資料に委ねてください。1か月目には退屈で、12か月目には高くつく種類の作業です。

技術的な判断も1つだけ、早めに決めておきます。いまなら極めて安く、あとからだと非常に高くつくからです。ゲーム内のテキストをコードの中に直接書かず、書き出せるファイルに置いておくこと。今日の時点で対応言語を決める必要はありませんし、そもそも対応するかどうかも決めなくて構いません。必要なのは、答えが永久に「不可能」になる作り方を避けておくことです。いつか「自分の言語で遊びたい」という声が実際に届いたとき、それが2週間の作業か2か月の作業かを決めているのは、最初に下したこの判断です。

結局、食べていけるのか

できている人はいますし、あなたがその一人かどうかを事前に言い当てる誠実な方法はありません。言えるのは、長く続いている人はたいてい、1本のリリースに全部を賭けていないということです。繰り返し出し、生活が壊れない範囲にコストを抑え、プロジェクトをまたいで付いてくる客層を作り、そして各作品を届く限り広い市場に売っています。狭い市場のまま置いていません。

最後の点は、この話題でいちばん抜け落ちやすく、そしてゲームが完成したあとに自分で最も動かせる部分です。良いゲームを作ることは必要条件であって十分条件ではありません。気に入ってくれるはずの全員に、見つけられ、読まれ、買える状態にしておくこと。それが仕事のもう半分です。

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