インディーゲームを海外に広める — 見つけてもらう経路と、その先で落ちる穴
国内ではそれなりに動いた。見つけてくれる人には見つけてもらい、参加しているコミュニティには一通り届き、グラフは横ばいの直線になった。次の一手として海外が浮かぶのは自然なことです。ストアはすでに世界のほとんどの国で売れる状態になっています。とはいえ「海外に宣伝する」は、火曜日のタスクリストに書いて片付く種類の仕事ではありません。
考え方を一つ変えると動きやすくなります。海外展開は、第一には予算の問題ではありません。海外の誰かがあなたのゲームを知る経路は、そのほとんどが「その国の誰かが、その国の他の人に伝える」という形をしています。注目を買うのではなく、すでに起きている会話に入れてもらうこと、そしてその会話が行われている部屋が、いま自分がいない場所にあるということです。
この記事では、その両面を扱います。海外のプレイヤーが実際にどこでゲームを見つけているか、言語圏によって主戦場がどう違うか、そして苦労して得た海外の注目が、その先で何にもならずに漏れていく、ごくありふれた理由です。
海外のプレイヤーはどこであなたを見つけるか
経路を明示的に書き出しておく価値があります。多くの開発者は、そうと決めたわけでもないのに、このうち一つか二つだけに頼っているからです。
- ストア本体 — 新作一覧、タグやジャンルからの回遊、関連ゲームのおすすめ、セールページ、フェスやイベントのページ
- 動画 — 長尺の実況、ライブ配信、縦型の短尺クリップ。小規模なゲームでは最大の発見経路になることが多い
- コミュニティ — ジャンル別の掲示板やRedditの各板、Discordサーバー、フォーラム、現地語のゲームニュースサイトや個人ブログ
- キュレーター、メディア、無名のゲームを紹介することを目的にしたアカウント
- 他の開発者の読者 — バンドル、コラボ、プレイヤー層が重なるゲームからの言及
- イベント — 現地の展示会とオンラインショーケース。短期間に「探している人」の注意が集中する
どの経路も形は同じ
いま挙げた一覧を見直すと、すべてに共通する形があります。どの場合も、その国の人たちの注目をすでに持っている誰かが、その注目の一部を割く価値があると判断している、という構造です。キュレーターが選ぶ、実況者が遊ぶ、掲示板の常連が貼る、ストアの仕組みが「関心を持つ人が一定数いる」と判断してさらに広く見せる。
そう捉えると、立てるべき問いが変わります。「どうやって海外に広告を出すか」ではありません。その規模では費用ばかりかかって効きにくい問いです。正しいのは「自分のゲームを次に渡してくれる立場の人が、あっさり“はい”と言える状態とは何か」です。答えはたいてい地味です。読める言語でゲームの内容が分かること、交渉なしでキーが手に入ること、必要なサイズで使える画像が落とせること、そして取り上げても後で問題にならないと確信できること。
ここから導かれるのは、海外展開の作業の大半は誰かに連絡する前に終わっている、ということです。収益化していいのかを確かめるためにわざわざメールを書かなければならないなら、一定の割合の実況者は返事を待たずに次のゲームへ移ります。
言語圏ごとに主戦場が違う
いちばん時間を無駄にする思い込みは、自分の国で機能しているプラットフォームの組み合わせが、どこでも同じだと考えることです。実際には違います。ライブ配信が中心の地域、縦型の短尺動画が中心の地域、外からはほとんど見えないフォーラムやチャットグループが中心の地域、現地語のキュレーターやニュースサイトがその週の話題を決めている地域があります。
個別のプラットフォームは盛衰があるので、二年後には外れているリストを覚えるより、古びない調べ方を持っておくほうが得です。気になっている地域で明らかに売れた同ジャンルのゲームを三本から五本選び、その名前をその言語で検索して、返ってきたものを見ます。どのサイトがレビューし、どの実況者が扱い、どのコミュニティで話題になり、開発者は現地語で何か書いていたか。半日これをやるだけで、この記事を含めたどんな一般論よりも、正確で新しい地図が手に入ります。
打診の仕方に対する期待も地域で違います。どれくらい丁寧に書くべきか、英語で構わないのか、現地語の投稿が当然とされているのか。英語はかなり遠くまで運んでくれますし、情報がないときの既定値としては正しい選択です。ただ、機械翻訳で作って丁寧に確認した短い現地語の投稿は、英語の告知をそのまま貼るのとは違う「手間をかけた」印象を残します。
一つ注意しておくと、六つの地域に同時に手を出さないでください。会場を見つけ、二回以上投稿し、実際の人と話すところまでやった二つの地域は、一回ずつ触っただけの八つの地域に勝ちますし、効果があったかどうかの判断もはるかに容易です。
見つけてもらった後に落ちる穴
ここまでの経路が生み出すものは、すべて同じです。一つの行き先、つまりストアページへのクリックです。そこで成果に変わるか、静かに終わるかが決まります。そして海外の注目を取りに行く前に、この部分を準備している人はほとんどいません。
ここでローカライズという言葉が具体的になります。テキストを訳し、ゲームが複数言語を持って切り替えられるようにする作業全体を指す言葉ですが、この段階で効くのはゲーム全体よりずっと小さい部分です。訪問者が着地するページの、数百文字。説明文が読めない人にできるのはスクリーンショットを眺めて推測することだけで、たいていは推測するよりタブを閉じるほうが選ばれます。
対応言語の欄には、もう一つ別の働きがあります。プレイヤーが検索で使うフィルタであり、購入前に読む目印でもあるということです。自分の言語が載っていなければ、説明文を読む前に候補から外す人がいます。ほとんど読まずに遊べるゲームでも同じです。もし本当にそうなら、そのことを相手の言語で一行書いておいてください。推測させるより確実です。
スクリーンショットは文章に勝ちます。よく訳された説明文の下に、読めない言語のUIが写った画像が五枚並んでいれば、訪問者は自分が実際に体験することを理解し、画像のほうを信じます。UIの対応が間に合わないうちは、文字の少ない場面を選んでください。
どれも派手さのない話ですが、それが要点です。海外向けの施策が何も生まなかったとき、原因は打診の下手さではなく、打診が機能した結果を着地点が受け止められなかったことのほうが多いのです。
一週間で終わる最初の手順
考え方ではなく具体的な順番が欲しい場合は、これくらいの大きさなら実際に終わります。
- 根拠のある言語を一つか二つ選ぶ — 届いている要望、ウィッシュリストやトラフィックに出てくる国、明らかにその地域で売れた類似作
- ストアページをきちんと訳す(短い説明、詳細説明、キャッチコピー)。機械翻訳をそのまま貼ると損をするのはここです。品質の予告編として読まれるためです
- 対応言語を正直に設定する。全部にチェックを入れるのではなく、ストアが用意している区分(インターフェース・字幕・音声)を使い分ける
- 文字がいちばん多く写っているスクリーンショットを二、三枚差し替えるか順番を下げる
- 実況者・メディア向けの短い連絡文を英語で用意し、対象言語の一段落版も作る
- その地域の相手を十人から二十人選び、一通ずつ個別に送る(一斉送信でもメーリングリストでもなく)
--- 一斉送信に見えない打診文 --- Subject: <Game name> — <one-line hook> (keys available) Hi <name>, I saw your <video / article> on <相手が実際に扱ったもの> — <本当に見たことが分かる一文>. I make <game name>, a <genre> game about <一文の紹介>. It's out on <platform> on <date>, and the store page is now available in <language>. Trailer: <link> Press kit (screenshots, logo, description): <link> Happy to send a key — just reply and I'll send one over. You're welcome to cover and monetise it however you like. <your name>
一度の施策ではなく、続く仕組みにする
一週間の打診だけで大きな成果が出ることはあまりありません。効いてくるのは同じ相手に対する反復です。二回目、三回目に見たときに初めて、その日見た四十本のうちの一本ではなく、実在する作品として認識されます。
もう一度登場する理由をカレンダーに用意してください。ストアのイベントやフェス、意味のあるアップデート、季節のセール、節目の数字、体験版の公開。どれも、うるさくならずにもう一度その地域で投稿できる正当な理由です。告知は自分の言語だけでなく、対応している言語でも出してください。開発者がどの言語で書いているかを、プレイヤーはよく見ています。
取り上げてくれた相手を、時期と内容つきでリストにしておいてください。積み上げたフォロワー数よりも価値があります。そのゲームが自分の読者・視聴者に合うことを、すでに実証した人たちの一覧だからです。
国別のデータは数か月ごとに読み返し、次の言語と次の地域は勘ではなくそれに決めさせてください。こちらが何もしなくてもウィッシュリストに出てくる国は、そこにすでに需要があることを教えてくれています。「どの市場が大きいか」という一般論より、ずっと信頼できる指針です。
そして因果関係だけは自分の中で整理しておいてください。言語を足しても需要は生まれません。足すことでできるのは、見送る理由を一つ減らすことと、あなたが作ったものを検討できる人の範囲を広げることです。宣伝予算のない個人開発者にとって、これは何も買わずに引ける数少ないレバーの一つです。