ゲームを広げる・売るRead this article in English

最初の1000本をどう売るか — 内訳を設計して、1つの市場に賭けない

1000本は、個人でゲームを作っていて最初に「実感のある数字」になる規模です。それで一年分の生活費になるわけではありませんし、ヒットとも呼ばれません。それでも、友人でもジャムの参加者でも気を遣ってくれた人でもない見ず知らずの相手が、自分の作ったものにお金を払う、ということを証明する数字ではあります。そして次に何をすべきかを判断できるだけのデータでもあります。

多くの人はここに「祈って」たどり着こうとします。出して、告知して、売上ページを更新し続ける。もう少しましなやり方は、その1000本がどこから来る予定なのかを先に決めておくことです。書き出した計画は現実と突き合わせられます。うまくいかなかったときに「誰も欲しがらなかった」と漠然と結論する代わりに、どの部分が外れたのかが見えます。

この記事では、1000という数字を分解する方法、各段階で効きやすい打ち手、そして個人開発者が後になって気づきがちな構造的な話を扱います。1つの国で1000本売るより、10の国で100本ずつ売るほうが現実的なことがある、という話です。

1000本の内訳を設計する

小規模なゲームの最初の一年の売上は、いくつかの区別できる場所から来ます。発売週。ここはほとんどが、すでにゲームを知っていて待っていた人たちです。ストアの回遊・検索・関連ゲームからの細く長い流入。取り上げられたり実況されたりしたときの山。そしてセールイベント。多くの小規模タイトルでは、発売週が忘れられた後もここが売上を作り続けます。さらにその全体の下に、自分が届いている地域と届いていない地域があります。

各行に自分の予想を書き込んでみてください。数字はまず外れます。それで構いませんし、そういうものです。大事なのは精度ではなく形です。1000本のうち900本が一つの行に依存しているなら、それは計画ではなく賭けです。

  • 発売前に大きく動かせるのは「発売時点の関心の量」の行だけなので、労力はそこに置く
  • 発売後は、その行は永久に確定し、それ以外の行はまだ全部開いている
  • 具体的な行動を書けない行は、計画の行ではなく願望です
最初の1000本はどこから来るか

  発売時点のウィッシュリスト/フォロワー      ______
  発売週の売上                              ______   (仮定: ウィッシュリストの ____% が購入)
  最初の3か月、ストア回遊+検索              ______
  取り上げられた分・実況からの流入          ______
  最初の大型セール                          ______
  2回目のセール                             ______
  ------------------------------------------------
  合計                                      ______

  残り時間で、まだ動かせる行はどれか
  合計の半分を超えている行はどれか

発売前にできる最大の仕込み

ストアページを早く公開することは、費用対効果の点で最も安上がりな一手です。それでいて「ゲームがまだ完成していないから」という理由で何か月も先送りされます。この理屈は逆です。ページは完成品の領収書ではなく、存在している週の分だけ関心を溜め続ける装置であり、その間ずっとストア内検索で見つかる対象にもなります。

ウィッシュリストとフォローは二度回収されます。発売時とセール時に、すでに関心のある人へ通知が飛ぶこと。そして各ストアは新作をどれくらい露出させるかを決める際に、発売前の関心量を考慮に入れます。細かい仕組みは公開されていませんし時期によって変わるので、公式のようには扱わず方向性として捉えてください。ただ、その方向性は計画を立てるには十分安定しています。

ページ自体にも、最初の数秒でやるべき仕事があります。冒頭の数行は「作った本人にとってどう感じられるか」ではなく「これが何のゲームか」を言うこと。タグは実際の中身と一致していること(そのジャンルを探して回遊している人に見つけてもらう部分です)。トレーラーは早い段階でゲームプレイを見せること。対応言語の欄もここに含まれます。購入後の情報ではなく、絞り込みに使われている項目だからです。

体験版は「後で」ではなく「いま」決める理由を与えますし、フェスは特定の日付に大量の注目を集めます。それはまさに小さなゲームに欠けているものです。どちらも、時間が余ったらやることではなく、スケジュールをその周りに組む価値があります。

初週にやること

初週は、それまでにやったことが現金化される期間で、その場で新しく発明できることはあまりありません。できるのは、すでに得たものを取りこぼさないことです。

体験版を取り上げてくれた相手には、一人ずつ個別に知らせてください。告知は、実際に参加してきたコミュニティに投稿します。一度も書き込んだことのない場所十か所にリンクを落とすのではなく。最初の数日はコメントとメッセージにすべて返信してください。書ける言語で構いません。自分に注目している人の数がその年で最大になる週であり、そこに存在していること自体は無料です。

進行不能になる不具合は、数日ではなく数時間で直してください。初期のレビューは不釣り合いに長く効きます。ページの上部に残り、ゲームがいちばん見られている時期の評価を形づくります。最初の一時間のクラッシュによる返金は、クラッシュそのものより取り返しがつきません。

発売時の割引については、控えめな割引は普通の選択で、リスクも小さいものです。一方で最初から深く割るのは別の判断になります。人の頭の中に基準価格を作ってしまい、いちばん強い割引カードを、必要になる前に切ってしまうからです。価格は後から上げられますが、上げる行為は目立ちますし気まずいものです。割引はいつでも簡単にできます。

そして初週の間、流入元を見ておいてください。どの経路が実際に機能しているかについて、これ以上明瞭なデータは今後まず手に入りません。その結果は、次回作の計画を静かに書き換えるはずです。

レビューとセールの回し方

レビューは、寝ている間も働き続ける変換装置であり、しかも複利で効きます。良い評価が見えているページは購入率が上がり、プレイヤーが増え、レビューがさらに増えます。だから後々の一件よりも、最初のまとまった件数を得ることのほうが重要です。

お願いはしてよいですが、圧はかけないでください。クリア後の画面やアップデートの告知に、「楽しめたらレビューを書いてもらえると助かります」という一行を置くのは普通のことで、効果もあります。懇願に読めるもの、見返りを提示するものは、作ろうとしているものそのものを損ないます。

そのうえで、レビューは自分への評価ではなくデータとして読んでください。どの言語で書かれているか。繰り返し出てくる不満は何か。「読めない」「文章が変だ」という不満が続くなら、それは姿を変えた市場のシグナルです。その言語の人があなたを見つけていること、そして何かがその人たちを止めていること、その両方を同時に教えています。

ゲームの寿命は二週間ではなく二年だと考えて計画してください。季節ごとのセールイベントは、発売時にはまったく見ていなかった人へ繰り返し作品を紹介します。多くの小規模タイトルでは、その積み重ねが最終的に発売週より大きな意味を持ちます。だからこそ割引には規律が要ります。時間をかけて段階的に深くする、いちばん深い割引はストア自体が大量の人を送り込んでくる時期まで取っておく、そして「二週間待てば必ず安くなる」と客に学習させない、ということです。

1つの市場に1000本を賭けない

目標の感じ方を変える算数があります。1つの国で1000本売るには、その国で注目を奪い合っているものすべてに勝つ必要があります。その国のトップページ、その国の実況者、その国の話題の流れ。一方、10か国で100本ずつ売るために必要なのは、おおむね各国で「見えていること」と「読めること」です。簡単ではありませんが、混雑の度合いがまるで違いますし、何かに勝つ必要がありません。

その扉の鍵が言語です。ここでローカライズ、つまりテキストを訳してゲームが複数言語を切り替えられるようにする作業は、あれば良いものではなく流通の判断になります。そして安い版が実在します。ストアページだけを訳すこと、数百文字の作業です。それだけで、その言語の人があなたのゲームを検討できるかどうかが変わります。ゲーム本体の翻訳よりずっと前の段階の話です。

ここでは二つの要素が一緒に動きます。読めるページと、その国の生活実感に合う価格です。ストアには地域別価格の仕組みがあり、自国通貨から機械的に換算した価格は、別の経済圏ではあり得ない金額に着地することがあります。どちらか片方だけでは効きません。読めないゲームはいくらでも売れませんし、読めるページでも価格が不自然なら購入率は落ちます。

対応言語は「市場が大きい国のリスト」ではなく、自分のデータから選んでください。こちらが何もしていないのにウィッシュリストやトラフィックに現れている国は、あなたのそのゲームに対する需要がすでにそこにあることを示しています。そのうえで、五言語を雑にやるより一、二言語をきちんとやってください。機械翻訳を貼っただけの五言語は、丁寧な一言語より成績が悪くなり得ます。読みづらい文章は、読みづらいゲームの予告として受け取られるからです。

因果関係は自分に対して正直にしておいてください。言語を足しても需要は生まれません。足すことでできるのは、見送る理由を一つ減らすことと、検討できる人の範囲を広げることです。控えめな主張ですが、宣伝予算がまったくない開発者に残されている数少ないレバーの一つでもあります。

そして実際に1000本に届いたとき、いちばん価値があるのは金額ではなく内訳です。買ったのがどこの人か、どの言語でレビューが書かれたか、どの経路が人を連れてきたか。次の1000本と次の作品は、それに決めさせてください。

関連記事