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英語から日本語へ — ローカライズで実際に変わること

英語版しか出したことがないチームにとって、日本語は多くの前提が崩れる最初の言語になりがちです。日本語が特殊だからではなく、英語が暗黙のうちに済ませている判断を、日本語では明示的に下さざるを得なくなるからです。加えて、日本語が読めない開発者でも、見るべきポイントさえ知っていれば画面上の異常には気づけます。

1行に混在する3つの文字体系

日本語の文章は、漢字(主に中国由来の表意文字で、名詞や語幹に使う)、ひらがな(助詞や活用語尾、和語に使う表音文字)、カタカナ(主に外来語や強調に使うもう一つの表音文字)の3種類を1文の中で普通に混在させます。1行のセリフの中に、この3つに加えてブランド名やステータス表示のためのアルファベットや算用数字まで混ざることも珍しくありません。

これは翻訳の表記ゆれではなく、日本語として普通の姿です。英語のフォント混在をバグとして検出するのと同じ感覚で「文字体系の混在」を欠陥フラグにすると、ほぼ全行が誤検知になります。

単語間にスペースがない

日本語は単語をスペースで区切りません。そのため英語のような「最寄りのスペースで改行する」という折り返しロジックはそのまま使えず、単語の途中や、行頭に置いてはいけない句読点の直前で改行してしまう実装が起こりがちです。日本語の組版には禁則処理という規則があり、閉じ括弧や「、」「。」は行頭に来てはならず、開き括弧は行末に来てはならないと定められています。空白のみで改行判定をする実装は、日本語ではほぼ確実に誤った位置で折り返します。

文字数は短いが、1文字あたりは幅広

同じ意味を表すのに、日本語は英語より文字数が少なくなることが多々あります。漢字1文字が英単語やフレーズ相当の情報を持てるためです。ここから「日本語は英語よりUIスペースが少なくて済む」と考えがちですが、実際には日本語の1文字はほぼ正方形の全角セルを占め、アルファベット1文字よりかなり幅を取るため、文字数の削減幅と1文字あたりの幅の増加が部分的に相殺されます。文字数ではなく実際の描画幅で収まるかを確認してください。

縦組みとフォント要件

日本語は横組みだけでなく縦組み(上から下へ、行は右から左へ進む)でも表記でき、物語性の強いテキストやセリフでは縦組みが一般的です(UIでは横組みの方が一般的)。縦組みに対応する場合、句読点や括弧、小書きの仮名は正しく回転・配置される必要があり、これはラテン文字用に設計されたフォントやテキストエンジンでは想定されていないことがほとんどです。

英語を正しく描画するフォントが、日本語グリフを一切持っていない、あるいは不完全にしか持っていないことは珍しくありません。特に漢字のカバー範囲はフォントごとに大きく異なり、対応していない文字は代替の四角(いわゆる「豆腐」)になるか、無言でシステムフォントに差し替わってウェイトや字形が変わります。実際に使う文字を対象にグリフの網羅性を確認してください。

全角と半角の使い分け

日本語の句読点(、。「」!?)は基本的に全角で、漢字と同じ正方形のセルを占めます。これは意図的な組版慣習であり、フォーマットの誤りではありません。日本語の文章の中に半角のASCIIカンマや半角の感嘆符を混ぜると、日本語話者には英語でピリオドの後にスペースが抜けているのと同程度に「明らかにおかしい」と映ります。一方で数字やアルファベットの略語は日本語文の中でも半角のまま使われることが多く、全角・半角の使い分けは文字種ごとに慣習が異なる点に注意が必要です。

ルビと、英語では問わずに済む人称・敬語の判断

ルビとは、読みにくい漢字の上(縦組みでは右)に小さく添えるひらがなの読み仮名で、難読漢字やキャラクター名、あるいは子ども向けに読みやすくする目的で使われます。対象年齢が低い場合や漢字の使用頻度が高い場合、どこにルビを振るかは無視できないローカライズ上の判断であり、英語の原文では想定していなかったレイアウト上の余白が必要になります。

日本語はまた、英語では曖昧なまま済ませられる選択を翻訳者に迫ります。キャラクターがどの一人称を使うか、どの丁寧さの段階(くだけた話し方から丁寧な敬語まで)で話すかは、年齢・性別・社会的立場・関係性を示す手がかりになりますが、英語の中立的な「I」や一定のトーンにはそうした情報がありません。英語原文に明示的な手がかりがなくても、翻訳者はキャラクターごとにこの判断を下す必要があります。

日本語が読めなくても確認できるポイント

日本語を読めなくても、統合上の問題の多くは以下で気づけます。

  • 豆腐(四角い代替字形)や明らかにウェイトの異なる字形 — グリフ不足のサイン
  • 閉じ括弧や「、」「。」が行頭に単独で置かれている — 禁則処理違反
  • 全角の文章の中に半角カンマやピリオド、感嘆符が混ざっている — ただし数字や略語は正当に半角のことがあるためネイティブに確認する
  • 文字列テーブル上は短く見えるのに、実際の表示ではあふれたり切れたりしている
  • 本来は短いラベルのはずのボタンが、言語ごとに表示幅が大きく違う

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